内職市場に入社したのは2006年。私は当社創業者の作野薫の次男なのですが、入社前は別の会社で4年半ほど勤務していました。ある年の正月、お酒が入った父から「うちの会社にこないか?」と言われたことがありましたが、その時は軽く聞き流していました。その年の夏、父に相談することもなく前職を退職したのですが、ふと正月の言葉を思い出して。「この前の話だけど、会社辞めたので入れてくれる?」と。裏口入社ですね(笑)。 入社して社内で見る父は家での姿と別人のようでした。それまで仕事人としての父をまったく知らなかったのですが、社長として働く父に尊敬の念を抱くようになりました。日々仕事をする中で、「働きたい人たちに、働ける環境を提供することで、笑顔と感動、そして生きがいを創り出す」という経営理念や業務内容に誇りを持つようになりました。
M&Aの話を聞いた時、私は直営事業部の執行役員兼部長の立場でした。直営事業部には正社員をはじめパート社員や内職スタッフなど多数のメンバーが所属していることから、従業員の待遇面の変化が大きな不安要素でした。また、当時のなごやホールディングスはグループ会社の数も現在の半数くらいで、事業内容の面で当社との親和性が不透明に感じられました。 グループイン後、その不安はすぐに払しょくされていきました。従業員の待遇や取引先からの対応にマイナス影響はなく、むしろ職場の環境やすべてのスタッフのモチベーションが好転しています。また、以前の同族経営時代に比べると、組織力が強化され変革や改善の判断が的確になったと実感します。トップダウンの采配では判断できなかった優先事項を見極め、決断と実行が格段にスピードアップしました。
真っ先に取り組みが開始されたのが、職場環境の改善です。まず1階と2階の作業現場が従業員の安全や快適さを重視した設備に改修されることになりました。2階の管理部門のオフィスでは社長室だった間仕切りを取り払い、オープンフロア式に改修しています。 目標数値を明確に設定して実行計画を立てることで、グループイン後の事業内容も拡大しました。私が管轄する直営事業では以前からマーケティング強化の必要性を感じていましたが、なかなか実行に移せずにいました。自然流入による新規獲得にはマンパワーだけでは限界があると感じていましたが、マーケティングにかけるコストの稟議がおりなかったのです。現在代表を務める髙島社長、なごやホールディングスの林社長と私とで営業方針を策定する中で、マーケティングによる拡販計画の方針もスムーズに決定しました。 職場を安全に快適にしたい、データを活用した営業手法を導入したいという希望を申し出たところ「実行しましょう!」と採用していただき、自分が今まで考えていたことが認められことを嬉しく感じました。
私が統括する直営事業部は会社全体の売上の6割以上を担い、業務の従事人数は8割近くを占めています。年度計画は事業部長である私が策定しますが、会社の根幹とも言うべき事業の計画ですので不安もありました。ただ現在は、私が立てた計画をホールディングス側で審議して修正や是正を加えてフィードバックしてくれます。全社的なバランスと実現可能性を考慮した結果の指示ですので、安心して現場の営業活動に反映させることができるのも大きな変化です。 グループインの際に抱いていた他のグループ会社との事業の親和性についても、旅行会社やインフラ関連事業などグループの多角化が進み、将来的な相乗効果が期待できると感じています。 ホールディングスの林社長、現代表の髙島社長ともに徹底的に現場を視察して作業も体験された上で、内職業界で勝ち抜く戦略を策定してくれています。厳しさと温かさを持ちあわせたビジネスパートナーとして信頼できる上司です。
内職市場の役割は、クライアントニーズにマッチしたサービスや商品を提供するだけではありません。子育てや介護をされている方、第一線を引退後のシニア層など「働きたくても働く場に出会えない人々」に仕事の場を提供し、内職スタッフ同士や運営側との交流が生まれるコミュニティとしての役割も果たしています。これは私たちが自信をもって誇れる社会貢献で、創業者の父が大切にしてきた信条でもあります。この役割と会社の理念も、しっかりと引き継がれています。 なごやホールディングスグループへの参画により、内職市場の経営基盤が強化され、職場環境を良好にすることで従業員満足度も大きく向上しました。持続的な成長と社会貢献を可能にするポジティブな変化をもたらしたこの決断に感謝して、社員の皆さんとともに一層会社を盛り上げていきます。